日銀の仕組み

日本の中央銀行である日銀のことについて

イールドカーブ・コントロール (YCC)

為替に関するニュースで「YCC」と呼ばれている「イールドカーブ・コントロール」。
これは、日本銀行の金融政策の一つで、日銀が掲げる「2%」という物価上昇目標を実現するため、2016年9月に導入されました。
長期・短期の金利を操作し、意図的に景気を刺激することを目的として実施され、短期で政策金利を、長期で国債の金利を操作することによって景気を刺激します。
そもそも金利と景気は密接に関わっていて、相互に影響を与えるものであり、一般的には、消費が活発に行われて景気が良い時期は資金需要が高まるため、金利が上昇、一方、モノが売れず企業が経済活動を抑制する時期は資金需要が低くなり、金利は低下します。
このような関係を利用し、中央銀行は金利の操作によって景気をコントロールすることがあり、イールドカーブ・コントロールは、国債の金利をある一定の枠内に置くように管理することで、消費者がお金を借りる際にかかる金利や、企業が資金繰りのために借り入れた負債の金利などを抑制する方向へと誘導します。
イールドカーブ

YCC

「イールドカーブ」とは、債券の金利水準と返還(償還)期間の関係を表す曲線のことで、縦軸に金利、横軸に返還までの残存期間を設定し、曲線状のグラフが描かれ、カーブの種類によって「順イールド」「逆イールド」に区別され、曲線の形状変化によって「スティープ化」「フラット化」に分けることができます。


イールドカーブ・コントロールは、「短期金利にマイナス金利を適用」「長期金利を0%付近に抑える」という2つの側面からのアプローチによって、景気を改善することを目的として実施する政策で、短期金利においては金融機関による企業・個人への融資を増やす効果を、長期金利においては企業や個人がお金を借りやすくする効果を狙います。

個人保有の金融資産2043兆円

個人が保有する預金や株式などの金融資産は、今年3月末の時点で2043兆円となり、過去最高を更新し、株価が上昇したことなどが主な要因と考えれています。



日銀が3か月ごとに公表する「資金循環統計」によれば、今年3月末の時点で個人が保有する預金や株式、保険などの金融資産は、去年の同じ時期よりも1.1%増加して2043兆円となっているようで、2000兆円を超えるのは6期連続で、過去最高を更新。


全体の半分以上を占める「現金・預金」は、1.7%増加して1107兆円となり、株価の値上がりを受けて、「株式など」が226兆円と、2.7%増えています。


株価の上昇傾向は、今年3月末以降も続いていて、日銀は今後、それらを背景に金融資産を押し上げる可能性もあるとする一方、大規模な金融緩和策を続ける中、日銀が保有する国債の残高は政府が短期の資金繰りのために発行する国庫短期証券を除いて、今年3月末の時点で576兆円となり、発行残高全体に占める割合は53.34%となりました。


日銀が保有する国債の割合は、去年9月末の時点で50%を超え、国債の半分以上を日銀が保有する形が続いています。

日銀・植田次期総裁

植田和男元日本銀行審議委員の日銀総裁就任が決定。

植田和男

4月9日に就任する植田氏は、戦後初の学識経験者の出身で任期は5年となっていますが、前任者の黒田東彦氏は2期10年務めていて、従来、日銀総裁は、通常財務省出身者と日銀出身者が交互に務めており、黒田氏は財務省出身、その前任は日銀出身の白川方明氏で、このパターンに従えば、黒田氏の後は、2018年から日銀副総裁を務めていた雨宮正佳氏の就任となるのですが、雨宮氏はこれを固辞し、政府は新しい日銀総裁に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用することを決定したようです。
植田氏は、マサチューセッツ工科大学で博士号を取り、長く東京大学で教鞭をとり、1998年に日銀政策委員会審議委員に就任、2005年までの7年間勤め、戦後初の学者出身の総裁の誕生、副総裁には、財務省出身で前金融庁長官の氷見野良三氏と、日銀理事の内田真一氏が充てられるようです。
学者出身の総裁のもと、財務省、日銀のベテランで補佐するという体制を固めたのですが、植田氏の任命は多くの人たちにとってサプライズだったようで、おそらく、決定したのは岸田文雄首相かその周辺とみられ、異色の日銀総裁を任命することで支持率の上昇を狙ったのではないかとも言われています。